北斎と二人の弟子が織りなす
……………壮大な慈悲の物語


 物語は、フランスの某所に保存されていると伝えられている、北斎直筆の摩訶不思議な手紙の解読から始まる。その手紙には、閻魔様に絵を依頼されたと記されており、老いて益々冴え渡る、洒落好き卍老人ならではの文面が綴られていた。

 …………そもそも北斎の生業は絵師である。

 「絵師とは、注文主から依頼され絵を描いて成り立つのだが、依頼主が閻魔様という、戯言の様な謎掛けは、後世の私たちに、何か特別なメッセージを込めた、卍老人こと北斎らしい遺言なのでは?」

 と、推論を試みた男がいた。その男は、北斎が生涯を生き抜いた葛飾の地でもある現代の葛飾地区をこよなく愛し、人知れずに北斎の足跡を辿るのを趣味としていた。

 団塊世代でもあるその男は、浅草の菩提寺に大切に保管されている、北斎の遺作「骸骨図」に、歳とともに引き寄せられ、観れば観るほど摩訶不思議な、その構図に秘められた絵解きに挑んだ。

 するとそこから見えて来たのは、卍老人として、この世を後にした、知られざる痕跡。更には、そこに隠されている時空を超えた、晩年の北斎に纏わる人間模様であった。

 超高齢ながらも、衰えを知らない北斎の壮大な思惑と想念は、遥か遠くのヨーロッパと極東の島国、日本を結びつけた波動となり、凄まじい波濤の如く、激動の江戸末期へと変貌していく……


【北斎最後の洒落・第一巻】
 第一巻は、平成25年に発刊した「北斎最後の洒落《上巻》」の改訂版であり、現代と当時を織り交ぜた、多彩な登場人物を紹介していく、この物語の序章となっている。
現代シーンの主人公であるエディ立石が北斎の菩提寺で、命日にしか観ることができない掛軸「骸骨図」に隠されている、摩訶不思議なメッセージの紐解きを進めていくうちに、思わぬ真実を知る事になる……。

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【北斎最後の洒落・第二巻】
 「北斎最後の洒落」の第二巻は前巻に引き続き、平成25年に発刊した「北斎最後の洒落《上巻》」の後半部分の改訂版である。齢83の卍老人が小布施へ旅立つ前、有名な『神奈川沖浪裏』を創作する迄の〝前の北斎(60代の頃)〟を追求。すると意外な人物との遭遇が……。
 ここでは〝最後の洒落〟のきっかけとなった不可思議な人物をフィーチャー。還暦を過ぎた絵師・北斎に大きな影響を与えたカピタンとの接触。その後、突如やって来た風変わりな医師との知られざる秘話に始まり、腐れ縁ともいえる曲亭馬琴との関係や京伝との繋がりなど。
 現代シーンでは、木版画に魅了され日本に棲みついてしまった、カナディアン木版画職人との出会いや、芸大三人娘が〝彫師亭寅師匠〟と巻き起こす虎騒動秘話。さらにはガイド役エディが、江戸っ子の人情味を追い求めて、葛飾の寅さんを訪ね歩く。果たして……。

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【北斎最後の洒落・第三巻】
 北斎が小布施へ突然に旅立った背景を探ると、行き着くのは化政時代に遡る。処は本所の北斎工房。なにやら、主人である北斎と侍らしき人物が親しげに話し込んでいる。品の良い色白の優男は時々、笑みを浮かべながら……ひそひそと?
 その男とは、この物語りの準主役とも云える小説家であり、歌舞伎好きが高じて、弟子や業者に混ざって、ちょくちょく本所の工房に顔を出しては、お栄にドヤしつけられ、すごすごと退散しては、懲りずに、またやって来る、しがない御徒の殿様でもある。
 人は長い人生の中で沢山の人と出会い、また離れていく。そんな出逢いに注目して、エディ自身の体験談と日常小咄を織り交ぜて、世知辛い世の中の矛盾や理不尽さを……。

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【北斎最後の洒落・第四巻】
 第4巻は「北斎最後の洒落」の佳境とも云える山場、江戸時代史上稀な極悪役人の登場で始まる。こうゆう輩は己れ自身を悪役とは思っていないからこそタチが悪い!……。結果、誰も予測がつかなった悲惨な結末が、……当時の江戸庶民は「まさかそんな事には?」と、油断していたのだ。 その〝マサカ〟の犠牲者とは?……さらに北斎こと卍老人を小布施に導いた、その根拠は?……それは誰の仕業なのか? エディは独特の猜疑心と第六感を駆使し、俄かジャーナリスト目線で、その背景を探求する。と、又しても意外な真実に辿り着く。……あのお騒がせヤロウが、あの時、江戸で密かに行動した事が、後々までも波乱を巻き起こし、現代までも、その真相は?……。

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【北斎最後の洒落・第五巻】
 第五巻は、今更ながらなのだが、意外と知られていない北斎の素性を解き明かす謎解きにせまる。謂わばDNAを辿る探索なのだが、実は北斎の本名は未だ明らかにされていないのである。
30以上のネーミングを多用していながら、なぜか本名は語っていない。幼少時の名前「時太郎」や十代の頃からの「鉄蔵」だけは、間違いなく実名であろうが、その後の名号などのネーミングは、全てが変名である。
果たして、北斎の本名は何なのかと菩提寺を訪ね、墓石に刻んである「画狂老人卍墓」の下には「川村氏」と刻まれていた。
お墓に入っても、頑なに本名を語っていない、その不可思議な「???」を解き始め、辿り着いたのは、当初の想像を超えた意外な人物であった。

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【北斎最後の洒落・第六巻】
 第六巻は、北斎すなわち卍老人の後期に降りかかった、二つの衝撃的な事件にフォーカスして、その真相を探ってみる。
後に、このアクシデントが北斎の超長寿人生を左右する事になるのだが、もちろんその確証は無いのだが、さすが北斎は絵師であり、それを窺わせる作品を、これでもかと遺してくれている。
一つ目の事件は写楽アートで、二つ目の不可解なアクシデントは、お馴染みの冨嶽シリーズと壮大な小布施アートで…。
深淵な洒落づくしで描かれた隠し絵を駆使して、北斎ならではの信念に裏づけされた生き様、さらには師弟愛よりも堅い絆で結ばれた、無二の友との繋がりだけが、事件の真相を語っているのかもしれない。
果たして、北斎のアイコンともなった「神奈川沖浪裏」の大波が意図するメッセージは、私達に何を語り、何を訴えているのであろうか……?

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【北斎最後の洒落・第七巻】
 第7巻は準備中

北斎最後の洒落

著者:雨洗空斎

発行者:Hokusaism Publishing

©2015 Woosen Coosai

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